安眠

目が覚めた

もう朝か、いや昼かな

そう思って窓の外を見たら

深い暗い世界が広がっていた

まただ

今日もまた深夜の暗闇から招待状が届いた

いつになったら朝日が僕を迎えに来てくれるんだろう

そうして僕は

安心して目を閉じられるようになるまで

永遠に闇の中

 

 

一瞬の卑屈

神様は理不尽だ

人々に特徴という名の優劣を与えて

人間は優越感と劣等感を手に入れた

と、こんな風に思うが

この理不尽を神様のせいにできるのなら

むしろ感謝すべきかもしれない

 

「君は君が思っているよりずっと素敵だよ」

と、鏡に映る僕が言った

区切り

僕は知っている

僕にあと少し勇気があれば

僕の大切な人を救えるのに

一歩が踏み出せなくて

うじうじしているから

鏡に映る僕の顔は

いつまでたっても真っ暗なんだ

でも

あと一回夜を越したら勇気を出そう

そしたら太陽の下で

笑って乾杯しよう

 

仲間

桜が咲いた

門出の季節だ

花束をもらった

鮮やかに束ねられたそれは

僕には雑多な色の集合体にしか見えなかった

みんなは綺麗と口々に言うんだけど

僕は

花束というくくりからこぼれた

道端の花たちが忘れられないんだ

 

倒立虚像

身支度をして散歩に出た

きれいな景色を眺めたかったから

ひとりで

 

湖を見ていると澄みきった気持ちになれるのは

そういうものだと錯覚しているからで

水面に映るぼくは

濁っていた

これもまた錯覚で

顔を上げたぼくは

太陽の眩しさに目をつむり

 

海辺を歩く夢を見た