2021-02-01から1ヶ月間の記事一覧

倒立虚像

身支度をして散歩に出た きれいな景色を眺めたかったから ひとりで 湖を見ていると澄みきった気持ちになれるのは そういうものだと錯覚しているからで 水面に映るぼくは 濁っていた これもまた錯覚で 顔を上げたぼくは 太陽の眩しさに目をつむり 海辺を歩く…

行方

私の愛する人が 幸せでありますように 私の愛の向かう方向が 幸せでありますように

正夢

ひとりで河原を歩く夢を見た それはたぶん ひとりで河原を歩きたかったから 誰かといると必ず議論が生まれるから 何をするにも何を決めるにも議論 ただ議論 そうして命を削っていくことに疲れたから だから せめて夢の中ではひとりでいさせて

視点

月は夜空でのみ光り輝く ずっとそこにいるのに 夜が明ければみんな忘れて こぞって日の出に心打たれるんだ 月を見た瞬間にエモショーナルだとか言って ロマンチックを丸投げするくせに 太陽の光を見たとたんに心変わり だから僕は正午に 月がきれいですね と…

影武者

あいつはどこまでもついてくる いつでもどんなところでも追いかけてくる 僕の成功も失敗も全部見られてる あいつは真っ黒だから怖い だけどよく見たら僕と同じ顔をしていて 僕のことをじっと見つめてくる やっぱり真っ黒だから 笑顔なのか泣き顔なのかも分か…

シャッフル再生

僕は今日もイヤホンをする すべてをシャットダウンできるような気がするから 外界とはこれでおさらば なんて気取った気分になれるのは イヤホンをした先に違う世界があるからで そこには無数の音楽があふれている じゃあこれは誰がつくったんだ 君が嫌ってい…

迷路

四季の流れに飲み込まれて 自分の身の進展をも望む 自然は勝手に変化していくというのに それに感化されてしまうのは 僕らの周りには自然があふれかえっているからで それに気づくのはふとした瞬間だし 自分まで変化する必要もないことに気づくのはもっと先 …

ワルツ

ペンを持つと わたしの中の言葉たちが恥ずかしがって引っ込んでしまう 頭を抱えていると 彼らが様子を窺うように窓の隅から覗いてくる そんな彼らを甘い香りで誘おう 出てきたところで彼らを文字化してしまうんだ こんなことをしなくても出てきてくれればい…

助けてエビングハウス

忘れたい あの嫌な思い出を と願う度 あの情景がこころに張り付いてくる そう 忘れたいと思う度 忘却曲線が復元されてしまうから 忘れたいという気持ちを 忘れたい

希望

夜景を見た 遠くの方で輝く光に 思わず目をつむった 目を開けるとそこは真っ暗闇で さっきまでの明るさはまるで嘘のよう 寂しい ただ寂しいから 誰か わたしのろうそくに灯をともして はやく

未知

わたしが天国へ行ったとして いや地獄かもしれないし 三途の川あたりでうろうろしてるかもしれないけど そうなったらさ わたしを心の片隅に住まわせて 星空にわたしを探してくれる人は いるんだろうか まあそのうち分かるから どこか知らないあの世から いた…