おうし座流星群

流れ星はきらいだ 願いが叶うって誘っておいて 奇跡なんて言っちゃって ぼくには見つけられないから どうせぼくが見てない間に夜空を飛んで みんなを喜ばせているんでしょ ぼくにも見せてよ ぼくのことも幸せにしてよ なんて愚痴吐きながら帰る寒空

疑問

努力は報われると思いますか 自分の身を削って これ以上にないくらい頑張った結果 上手くいかなかったら その時はきっと いよいよ僕はダメになってしまう そんな自分を見るのが怖いから 僕は頑張らない 教えてください 努力は報われると思いますか

脱色

僕は何者か 他人の期待通りに マニュアル記載の人生を生きて 出会いの度 他人に染まって染め直されて 僕は三原色を超えて黒になった 僕は何者だ もう誰も僕に近づくな

謎々

何のために生きているのかなんて 誰に聞いても分からないし 自分でも分からないから とりあえず今日もまた目を開けたんだけど 僕が知りたいのはそういうことではなくて よく分からないから分かるまでは生きてみるし 来世は鳥になって 空から考え事をしていよ…

気になる

最近気づいたら目で追ってるあの子 もし もしさ あの子と手をつなげる関係になったら もうちょっと毎日が楽しくなるかな 明日もがんばろうって思えるのかな

月光

地球に生きる僕たちは 見えない圧力を全身で感じているのに それを重力のせいにして無視している だから 春休みになったら 空飛ぶあの飛行機に途中乗車して 月に着いたら 背中に背負った重圧は地球に捨てて 六分の一の重力の中 身軽にジャンプしよう

幻想

誰かに理解されるような人生なんて 送りたくないし 送ってるつもりもない

前世

目が覚めた 味がしない食パンをくわえて 小走りに家を出た 作り笑いを浮かべて人と喋り 疲れた顔してまた眠る そう生き急いでいた自分を 今は空から見ている 間違えた線路を進み続ける永久機関には 乗りたくなかったはずだった

回帰

僕には関係ない 心の中で叫んで 背を向けて走り出したのに 君が涙を流すから 暗い公園のベンチに座る君を また 見つけてしまったんだ 君がその涙を止めないから

安眠

目が覚めた もう朝か、いや昼かな そう思って窓の外を見たら 深い暗い世界が広がっていた まただ 今日もまた深夜の暗闇から招待状が届いた いつになったら朝日が僕を迎えに来てくれるんだろう そうして僕は 安心して目を閉じられるようになるまで 永遠に闇の…

一瞬の卑屈

神様は理不尽だ 人々に特徴という名の優劣を与えて 人間は優越感と劣等感を手に入れた と、こんな風に思うが この理不尽を神様のせいにできるのなら むしろ感謝すべきかもしれない 「君は君が思っているよりずっと素敵だよ」 と、鏡に映る僕が言った

区切り

僕は知っている 僕にあと少し勇気があれば 僕の大切な人を救えるのに 一歩が踏み出せなくて うじうじしているから 鏡に映る僕の顔は いつまでたっても真っ暗なんだ でも あと一回夜を越したら勇気を出そう そしたら太陽の下で 笑って乾杯しよう

仲間

桜が咲いた 門出の季節だ 花束をもらった 鮮やかに束ねられたそれは 僕には雑多な色の集合体にしか見えなかった みんなは綺麗と口々に言うんだけど 僕は 花束というくくりからこぼれた 道端の花たちが忘れられないんだ

倒立虚像

身支度をして散歩に出た きれいな景色を眺めたかったから ひとりで 湖を見ていると澄みきった気持ちになれるのは そういうものだと錯覚しているからで 水面に映るぼくは 濁っていた これもまた錯覚で 顔を上げたぼくは 太陽の眩しさに目をつむり 海辺を歩く…

行方

私の愛する人が 幸せでありますように 私の愛の向かう方向が 幸せでありますように

正夢

ひとりで河原を歩く夢を見た それはたぶん ひとりで河原を歩きたかったから 誰かといると必ず議論が生まれるから 何をするにも何を決めるにも議論 ただ議論 そうして命を削っていくことに疲れたから だから せめて夢の中ではひとりでいさせて

視点

月は夜空でのみ光り輝く ずっとそこにいるのに 夜が明ければみんな忘れて こぞって日の出に心打たれるんだ 月を見た瞬間にエモショーナルだとか言って ロマンチックを丸投げするくせに 太陽の光を見たとたんに心変わり だから僕は正午に 月がきれいですね と…

影武者

あいつはどこまでもついてくる いつでもどんなところでも追いかけてくる 僕の成功も失敗も全部見られてる あいつは真っ黒だから怖い だけどよく見たら僕と同じ顔をしていて 僕のことをじっと見つめてくる やっぱり真っ黒だから 笑顔なのか泣き顔なのかも分か…

シャッフル再生

僕は今日もイヤホンをする すべてをシャットダウンできるような気がするから 外界とはこれでおさらば なんて気取った気分になれるのは イヤホンをした先に違う世界があるからで そこには無数の音楽があふれている じゃあこれは誰がつくったんだ 君が嫌ってい…

迷路

四季の流れに飲み込まれて 自分の身の進展をも望む 自然は勝手に変化していくというのに それに感化されてしまうのは 僕らの周りには自然があふれかえっているからで それに気づくのはふとした瞬間だし 自分まで変化する必要もないことに気づくのはもっと先 …

ワルツ

ペンを持つと わたしの中の言葉たちが恥ずかしがって引っ込んでしまう 頭を抱えていると 彼らが様子を窺うように窓の隅から覗いてくる そんな彼らを甘い香りで誘おう 出てきたところで彼らを文字化してしまうんだ こんなことをしなくても出てきてくれればい…

助けてエビングハウス

忘れたい あの嫌な思い出を と願う度 あの情景がこころに張り付いてくる そう 忘れたいと思う度 忘却曲線が復元されてしまうから 忘れたいという気持ちを 忘れたい

希望

夜景を見た 遠くの方で輝く光に 思わず目をつむった 目を開けるとそこは真っ暗闇で さっきまでの明るさはまるで嘘のよう 寂しい ただ寂しいから 誰か わたしのろうそくに灯をともして はやく

未知

わたしが天国へ行ったとして いや地獄かもしれないし 三途の川あたりでうろうろしてるかもしれないけど そうなったらさ わたしを心の片隅に住まわせて 星空にわたしを探してくれる人は いるんだろうか まあそのうち分かるから どこか知らないあの世から いた…

またの日

さようならという言葉は はたして悲しいのか それとも新たな出会いへの扉 とでも言うのか分からなかったから じっくり見てみたけれど さ も よ も う も な も ら も よくわからなかった

恩恵

申し訳程度の感謝と 申し訳程度の謝罪 そんなものはいらないから 本音を吐き散らしてくれよ 泣かせてくれよ 荒んだ心に潤いを与えてくれよ 申し訳程度のオアシスを

偽物

何者にもなりたくない 唯一無二でいたい 類似品はもうたくさん とか言うけどさ 鏡を見てごらんよ 同じ顔のひと見たことある? そんなこと言ってるんじゃないんだけどね

電車の窓に映る自分を見た 片手には通信機器のようなもの 隣のひとも その隣のひとも そのまた隣もそう みんなして熱心になにを見てるんだい わたしは瞑想でもしてやろう きっと誰も見ていないから みんな自分に精一杯でね

方針

思ったことを 思ったときに 思った通りに 書き殴れるならば それを受け止めてくれる人も どこかにいるんじゃないだろうか 少しくらい毒を吐いたって いいんじゃない

赤面

私のことなんて ましてや過去の私なんて だれも気にしてない 気にするはずもない だから忘れよう なんて言えたらいいのにね